膝前十字靭帯(ACL)再建術
膝前十字靭帯(ACL)とは
膝関節内にあり、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)を結んで、膝の安定性を担っています。特にターン動作、ジャンプ着地動作、カッティング動作などの動きで働いています。
役割
大腿骨に対し、脛骨の前方向(赤矢印)への動きを制動します。
膝関節の内側(赤線)を軸にねじる動きを制動します。
症状
- ブツっという断裂音(ポップ音)を体感する事が多いです。
- 受傷時は激しい痛みを自覚します。
- 受傷後しばらくして膝関節が腫れます。受傷直後は腫れが乏しいことが多いです。
- 多くの場合関節内に血が溜まります。
放置したら
損傷しても日常生活動作では大きな支障をきたすことが少ないですが、放置したままスポーツを行うと、膝崩れ(膝がガクッとずれる)現象が起き、半月板や軟骨などに障害をきたし、痛みや変形を来すようになります。
治療
あまり活動性が高くない患者様においてはリハビリテーションのみの加療を行うこともありますが、将来スポーツを積極的に行いたい患者様や膝を酷使するお仕事(自衛官、消防士、介護士、保母など)をされる患者様では積極的に手術治療を行います。 受傷直後は膝のはれや動きに制限があるため、手術治療はできません。手術時期は腫れも動きも改善した時期(おおよそ受傷後3週以降)に行います。 当院では関節鏡を用いて主に膝の裏の筋(ハムストリングス)を用いた靭帯再建術(解剖学的二重束再腱法)を行っています。 この手術方法は、膝を伸ばす筋肉を傷めることもなく、スポーツ復帰への影響も少ない方法です。また傷も3cm程度ですので、外観的にも優れた方法です。
手術手順
- 移植腱の採取および作成
皮膚を3cm程度切開し、損傷した靭帯の代わりとなる筋(ハムストリングス)の一部分(腱)を採取します。 - 骨孔の作成
採取した腱の直径と同じ大きさの穴(骨孔)を大腿骨と脛骨に開けます - 移植腱の固定
それぞれの骨に開けた穴に採取した腱を通し、固定します。これが損傷した靭帯の代わりとなります。最後に膝を屈伸させ、移植腱がスムーズに動いているかを確認します。
当院における膝前十字靭帯(ACL)再建術症例数
手術からスポーツ復帰までの流れ
術後から9ヶ月でスポーツ復帰を目指します!
入院当日からのパンフレット
基本・応用動作について
- 基本動作ではジョギング、水泳、自転車など再腱した靭帯に負担の少ない軽い運動から始めていき、柔軟性や筋力、耐久性の向上を図っていきます。
- 応用動作ではランニング、ジャンプ動作、ジグザグステップなどの各競技に合わせたトレーニングを行い、スポーツ復帰に向け取り組んでいきます。
- 詳しい内容はアスレチック(スポーツ)リハビリテーションをご覧ください。