アスレチックリハビリテーション

アスレチックリハビリテーション(以下 スポーツリハ)とは

主にスポーツに関連したけがや故障に対するリハビリテーションで、治療と予防の両面からアプローチします。また現状の競技能力の向上も期待するプログラムも導入し、家庭でも実施できる内容としています。当院のスポーツリハでは、スポーツ専門外来で専門医師の診断の元、医師の処方にて理学療法士(主に体幹・下肢を担当)や作業療法士(主に頸部・上肢を担当)が指導を行い、個々の選手の特徴、競技ごとの特殊性、チーム状況に応じたプログラムを実施し、早期に安全に競技復帰できるように行っています。更にシニアアスリートやスポーツ愛好家に対しては、健康維持、関節機能の保持を含めた愛護的なプログラムも作成し、一日でも長くスポーツに親しんでもらえるように心がけています。



スポーツリハQ&A

Q1:スポーツリハは主にどんなけがや故障が対象となりますか?

A1:足関節外側靭帯損傷(捻挫)、オスグッド・シュラッター病、野球肘、野球肩、腰痛症、腰椎椎間板症、ジャンパー膝、鵞足炎、肉離れ、腸脛靭帯炎、シンスプリント、疲労骨折 などスポーツで生じるけがや故障全般が対象となります。



Q2:慢性的な疼痛にも効果がありますか?

A2:スポーツリハの効果は、怪我した直後や間もない人(急性期)に効果があるのはもちろんですが、怪我して数年経っても痛みが長引いてお困りの方(慢性期)に対しても効果が認められます。長い間お困りの方には是非一度試していただきたい治療です。



Q3:実際のリハビリ効果はどのくらいありますか?

A3:疾患にもよりますが、早いものであれば当日には疼痛が軽減、消失します。また時間がかかるもの(例:オスグッド病)なども当院のスポーツリハで2週間ほどでのプレー復帰が可能になります。



Q4:実際、リハビリの内容はどのようなものがありますか?頻繁に来ないといけないですか?



A4:当院スポーツリハの流れ





①評価(身体状態の確認)
医師の診察後、リハビリ室にて担当となる理学療法士・作業療法士が、評価(関節の柔軟性や筋肉のバランス・緊張、疼痛を誘発する姿勢・動作の確認など)を行います。





②スポーツリハの内容
評価をした後、医師の処方に沿ったスポーツリハを行っていきます。 基本的にはホームエクササイズ(自己訓練)として行っていただきますが、動作の獲得までリハビリスタッフがマンツーマンでお教えします。当院のスポーツリハでは、小学生から高校生までの学生(部活動生)が多く通院していますので、自宅だけでなく部活動前後にも行っていただきます。一日5セットが目標です。また毎日続けていただくために、必要最低なプログラムにシェイプアップしています。



*代表的なトレーニング
固有受容性神経筋促通法(PNF)自己訓練用
神経・筋などの働きを高め、全体の筋肉のバランス、柔軟性、可動域など運動機能の改善と向上効果が得られます。除痛効果もあります。





●骨盤傾斜訓練・骨盤安定筋訓練(Draw in)
コアトレーニングの一つで、骨盤安定筋(腹横筋、内腹斜筋など)の強化や骨盤の可動性(動く範囲)の拡大を目的として行います。





●体幹機能改善訓練1:Hand Knee
コアトレーニングの一つで、体幹の固定力・安定性を向上させるのと同時に、全身の筋肉を刺激し、筋全体のバランスを整え、各関節運動を改善させます。





●体幹機能改善訓練2:骨盤引き上げ
コアトレーニングの一つで、体幹の固定力・安定性を向上させるのと同時に、全身の筋肉を刺激し、筋全体のバランスを整え、各関節運動を改善させます。





*動的関節制動訓練(タオルギャザー、電池掴み)
足底の固有受容器を刺激し、抗重力筋の緊張を挙げます。荷重制限や足部機能不全(扁平足・ハイアーチ)などの機能低下防止、改善を図ります。



●タオルギャザー●電池掴み

●バランストレーニング
膝、足関節の安定性と柔軟性を高め、バランス能力や共同筋活動が向上します。パフォーマンスの安定や腰、膝、足関節のけがや故障の予防に繋がります。





●チューブエクササイズ
筋腱の刺激、強化を目的とし、足関節の外反固定力を高め、内反不安定性を改善し、捻挫や腓骨筋腱機能不全の治療・予防に効果があります。





③再診よびホームエクササイズの遂行度のチェック
診察時に、ホームエクササイズの遂行状況(毎日どの位行えているのか)を確認します。また動作が間違っていないかの確認も行い、上手く出来ていなければ再指導していきます。治療の訓練が十分と判断された場合は、予防トレーニングも併せて指導します。

※ご家族の送迎や部活動を休めないなどの問題によって、頻繁にリハビリに通院できない場合には事情を考慮したホームエクササイズへ変更します。また、自己訓練の正確性を上げるために、訓練内容を記載した資料などをお渡しします。





Q5:肩こり、扁平足、O脚などスポーツのけがや故障以外にも
効果はありますか?



A5:実際にはこのような疾患の多くは筋肉のバランスや緊張などが原因です。当院のスポーツリハでは疾患に応じたプログラムの作成も可能ですので、お気軽にお声をかけてください。



インソール(中敷き)について

人の足の形・大きさは十人十色であり、市販の運動靴やインソールでは適切な矯正や補正が得られません。更に足に合わないインソールの使用は、痛みが改善しないばかりか、逆に痛みが生じたり、二次的な障害を来してしまうことがあります。 当院におけるインソールは、医師の処方の元、義肢装具士が個人の足の形(足の甲の高さ、足の横幅・長さ)を細かに採寸し、足形を作成し、仕上げていきます。また普段使用している運動靴が複数ある場合(シューズ、スパイク、アップシューズ、通学靴など)はいずれにも対応できる形態に加工します。疾患によっては装着した時点から疼痛が消失し、更に腰痛やひざ痛など足から離れた部位の痛みも改善します。その上保険適応となりますので、市販のものより安価で作成が可能です。 また、中高年の方の足の障害(外反母趾、踵骨棘など)にも効果が高いので、一度お試しいただくことをお勧めします。



①採型(足の型をとります)



②実際のインソール


③装着
足のフィットはこのようになります。




靴の中に装着すると、このようになります。外見からでも目立たず、どの靴にでも合います。





足部・足関節のけがや故障はもちろんのこと、扁平足障害やハイアーチ障害などの足部のバランスが悪い症例の多くは、アキレス腱の延長線と踵を通る中心線がなす角度(ヒールレッグアングル:HLA)が崩れ、体重のかかる部位が局所に集中する傾向にあります。インソールは、足部アーチとHLAを修正し、局所への負担軽減や足部・足関節の運動のスムースさを回復させます。更に足部・足関節のみではなく、全身の関節のけがや故障の軽減、改善に役立ちます。