反復性膝蓋骨脱臼

反復性膝蓋骨脱臼とは

  • 膝蓋骨脱臼とは大腿骨(太ももの骨)に対して膝蓋骨(膝のお皿)がはずれる状態です。外側の脱臼がほとんどで、内側の脱臼は非常にまれです。
  • 脱臼まではしないが、膝蓋骨の異常可動性があり、不安感があるものを膝蓋骨不安定症といいます。
  • 外傷以外に膝蓋大腿関節(太ももと膝のお皿の関節)の先天的な形態異常、全身の関節弛緩性、軟部組織のバランス異常など、さまざまな素因により膝蓋大腿関節の適合性が悪く、膝蓋骨が外側にずれてしまっている病態です。
  • 初回の脱臼は10歳代の女性が生じることが多く、その後繰り返し脱臼をきたすと反復性膝蓋骨脱臼へと移行します。


症状

  • ジャンプ着地や膝を捻る動作などで、膝蓋骨(膝のお皿)がはずれそう、もしくは、はずれる感覚を自覚します。
  • 膝痛や膝に力が入らない、膝がガクッとするなどの症状(Giving way)が出現します 。
  • 新鮮例では膝の痛みや腫れが生じますが、自然に整復されることが多いです。
  • 最初の脱臼以後、脱臼を繰り返すようになると痛みや腫れなどよりも、膝の不安定感が強くなり、スポーツ活動のみならず日常動作でも支障をきたします。

治療

  • 急性期や脱臼の程度が軽いものでは、筋力トレーニングや脱臼を予防するためのサポーターを用いた保存療法が行われます。
  • 反復性脱臼や、初回脱臼でも脱臼しやすい素因が明らかで、膝の不安感が強く、反復性脱臼になる可能性が高い場合には、手術療法が勧められます。
  • 近年、脱臼を繰り返すことで、脱臼の防止に重要な役割を果たしている内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)が破綻することが知られており、当院では積極的にMPFLの再建を行っています。

内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)とは

膝の内側にあり、大腿骨(太ももの骨)に対して膝蓋骨(膝のお皿)が外にずれないように支える重要な役割をしています。




内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)が損傷すると、膝蓋骨(膝のお皿)が不安定になり、大腿骨(太ももの骨)に対して膝蓋骨が外にずれやすくなります。



MPFL再建術

手術後は膝蓋骨(膝のお皿)の位置が、本来の位置へ変化します。